ご存知の方も多いと思いますが、
現行法人税・所得税では、取得価額30万円未満の減価償却資産については、
一定の要件のもとに
損金算入が認められています。
(中小企業者の少額減価償却資産の特例)
似て非なる制度として少額の減価償却資産(10万円未満)の損金算入という規定もあります。
(少額の減価償却資産)
一般の方にはちょっとややこしいかもしれませんが、
要は30万円未満の減価償却資産は経費に落としていいですよという規定です。
「これはいい制度だ。じゃんじゃん経費に落とそう!」
と、その通りではあるのですが、軽く考えてはいけません。
この「一定の要件」がけっこう曲者で、
税務調査の際にたびたび紛争の種となるのです。
例えば少額減価償却資産の特例制度の適用にあたっては、
①限度額(年300万円まで)
②申告要件(明細書の添付や措置法適用の旨の記載)
③取得価額の判定(1単位で30万円未満であるかどうか、税込判定税抜判定など)
が主な要件としてあげられます。
税務調査では少額減価償却資産と処理してあれば必ずこれらをチェックします。
我々はこれらのいらぬ議論をしなくてもいいように、
①、②については申告の際、記載漏れ適用誤りがないよう注意し、
③についていちいち請求書などで確認されなくても済むように
まず、帳簿の上で、いったん少額資産として資産計上した上で、
直ちに損金経理に振り替え、
さらに摘要には1単位の取得価額30万円未満
の判定がわかるようアピールし、
(これは30万未満の少額資産を適用したんですよ~、と)
こうしておくことで、税務調査においてはまず議論にすらなりません。
(ああっ、この会社はきちんとやってるんだ、わかっているな~と)
また区別をするという意味で、
10万円未満の少額の減価償却資産を適用した場合にも
それがわかるよう伝票起票しておくことが大切です。
(これは10万円未満の少額資産を適用したんですよ~、と)
調査官も会社の経理レベルを推し量れるというもの、
こうしておけばバッチリです。
経理の裏ワザテクニック?といいたいところですが、
出尽くした議論でいまや当り前の経理テクニックとなっています。
本日、久しぶりにこんな論点が話題にあがったので書いてみました。
くれぐれも軽く考えてはいけません。
参考法令(タックスアンサー法人税より抜粋)
<30万円未満の少額減価償却資産の特例>
[平成20年5月1日現在法令等]
中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産を平成15年4月1日から平成22年3月31日までの間に取得などして事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができます。・・・以下省略。
<10万円未満の少額減価償却資産の特例>
[平成20年5月1日現在法令等]
法人が取得した減価償却資産のうち次のいずれかに該当するものについては、少額の減価償却資産となり、その法人がこの減価償却資産を事業の用に供した事業年度において、その取得価額に相当する金額を損金経理した場合には、その損金経理をした金額は、損金の額に算入されます。
(1) 省略
(2) 取得価額が10万円未満のもの
この取得価額は、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。
例えば、応接セットの場合は、通常、テーブルと椅子が1組で取引されるものですから、1組で10万円未満になるかどうかを判定します。
また、カーテンの場合は、1枚で機能するものではなく、一つの部屋で数枚が組み合わされて機能するものですから、部屋ごとにその合計額が10万円未満になるかどうかを判定します。・・・以下省略
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