本当に、ご苦労様でした。(親方の5)

続き・・。


売上の〆の手続きの関係もあるし、弱みに付け込みむにゃむにゃにされたらたまらない、
との思いもあったので、

こちらも鼻息荒く、約束の日時に先方へ出向いた。




応接室に通されると、そこには重役さんが、でんと座って待ち構えていた。





話はこうである・・。


『 俺は、若いころから親父にはずいぶん世話になった。
  怒鳴られ、蹴飛ばされ、育ててもらった。
  今こうして重役のイスに座っているのも親父のおかげだ。』

『 また、晩年、親父の会社を支えてきたのは、この私だ!・・・』

『 ・・・中略 』

『 とにかく、会社の解散手続きは、しっかり適正にやってもらいたい。
  具体的にどういう風に行われるのか、説明してくれ。 え!』

・・と、矢継ぎ早にとりつく暇がない。


つまり、弱みに付け込んで、ヘタな仕事しやがったら承知しね~ぞ!
・・・・ということである。
 
 
・・・・ここにもいたか、若い衆・・・・。


・・・・・思いは同じであった。


『 な~んだ、そんなことですか。
  じゃ、こちらも言わせていただきますけどね~。
  私も親父とは入社以来20年来の付き合いですけどね~・・・・・・ 』

私も反撃、言うべきことをいい、10分も話をしていると意気投合・・・。



後段は、思い出話合戦(どちらが、親父と付き合いが濃いか)となった。(笑)




せちがない世の中と言えど、まだまだ人間捨てたもんじゃありません。







春先の話であるが、気弱になった親方がしみじみ言っていた。

『 俺は今まで必死にがんばってきたが、後継者を育てられんかったことが一番残念だ・・。
  せめて、息子が生きてればな~。俺の人生なんだったのかな~。』

・・・と。



・・・・・・。






いえいえ、それは違いますよ、親方。

あなたは立派な後継者(若い衆)をいっぱい育てたじゃないですか。

あなたの親方としての在様は、若い世代に確実に引き継がれましたよ。  





本当に長い間、ご苦労様でした。

そして、ありがとうございました。

お体を大事にして、長生きして下さいね。

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