署員らが電子申告

新潟日報の記事である。

要約すると、

今年3月に行われた2007年分の所得税などの確定申告。
全国、10の税務署で、職員らが納税者本人に代わり、申告情報を入力。
(納税者にeーtaxでの申告については文章や口頭で承諾を得たとのこと)

4月初め、東京国税局に匿名の投書があり発覚。
件数は約1400件あまり・・。
(ちなみに、e-Taxでの利用件数は392万件・・。)

国税庁は、不適切な事例だが、法令違反はなかった ので公表しなかった。利用率水増しの意図はない・・。


・・・・とのことであるが・・・???

確定申告は、自分で書いて、自分で申告! 

電子申告は、他人が打って、他人が送信???





思ったことが2点。

ひとつは、税理士法との関係・・。
もうひとつは、不適切は1400件だけですか?との疑問・・。

税理士法との関係からすれば、、

有料、無料を問わず、納税者の税務申告の代理を法的に認めれられているのは、
原則として税理士のみ。(他には後見代理人など・・。)

税務署職員といえど、納税者の税務申告を代理することは認めれていない。
(職権としてあるのは、更生や決定の権限・・。)

実務上も、納税者に対して確定申告の記帳指導やアドバイスを懇切丁寧に
(場合によっては写すだけのところまで・・)してくれても、申告の行為は
納税者の責任(申告書の作成・署名・押印)で行わなければならない、

・・・・ということが、かたくなに守られてきた。(理不尽なくらいに・・。)

ところが、e‐Tax申告の場合では、

この理不尽なくらいに守られてきた牙城
(本人の意思による申告の証・・、つまり申告書の作成、署名・押印)
がブラックゾーンに・・・・。
  
はたして、パソコンで申告情報を入力できない方に、申告書の作成、電子署名が可能なのだろうか?

・・・いや、いや、論理的には十分可能であるのだが・・、そうでなくて・・・・。

そんな、まどろっこしいこと現実的にするのだろうか・・。



想像するに・・・

『はい、入力は終わりました。所得・税額はこうですね。
電子申告控除の5000円もちゃんと入ってますよ。ね。

最後は電子署名しますから。ちょっと、カードここに乗っけて下さい。
暗証番号は?
ああっ、そうですか。カタカタカタ・・・。はい。これで申告終わりましたよ~。』

・・てな具合にやっちゃった場合は・・・。
(ま、普通は、誰でもこうするわな~。)



これ、ほんとに本人申告と言えるんですかね~。
実質的な、代理申告ですよね~。

『電子署名してるんだから、本人申告の証じゃないか。
それでいいじゃないか!!なにが悪いんだ! 

・・と怒られそうだが、そんなやぼなことを言いたいんじゃありません。

世の中、実印さえ、他人に預ける人もいるのですから・・。


そうでなくて、電子申告はまだ早すぎ、急ぎすぎ・・・。
PCが普及してから、まだ十数年。環境が成熟していません。

法整備も必要。今回取り上げられた問題など、
税務職員等も一定の条件のもと、
代行記帳(入力)の代理申告OK
(署員確認申告(納税者の意思で申告したものとみなす)とかのネーミングにして・・。)
と法改正しとけば、なんの問題もないこと・・。

むしろ、今回事件は、税務政策の副産物、良い方の事例・・。

『実質的な代理申告』(税理士によるものを除く)を疑えば、きりがない。

ほんとに、1400件だけですかね~。



だまってても、ネット社会は、どんどん成熟していきます。
(PC世代が大人になっていくので・・。)

年金、健保、消費税、医療費抑制政策etc・・。

国の政策として、大切なこと、急ぐことは良くわかります。
しかし、e-Tax だけは、不必要に急いではダメ。

お金をかけちゃったことは知ってますが、一歩引いて、
急がば回れで、じっくりやりましょうよ。 

ね、日本の総理大臣殿!!

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