決算を組むにあたり、けっこう振り回されるのがこの『中小企業会計指針』。
平成18年5月の新会社法制定に伴い、税理士・公認会計士等を中心として取りまとめられた。
借入金のある企業などが決算後、銀行から『中小企業会計指針チェックシート』の提出を求められ、
顧問税理士はこのシートに記入・署名・押印を求められる。
『ちゃんと中小企業会計指針に則って決算書つくってますよね。税理士さん。』
現段階での実務的影響はこれが大きいだろうか。
おさらいをすればこういうこと・・。
1.減価償却はきちんと計上してね。
2.貸倒引当金・賞与引当金・退職給与引当金もね。
3.棚卸資産は、強制評価減をちゃんと見てね。
4.未払金は全部計上してね。未払費用もね。
5.注記はここまで書いてね。
6.支払利息と手形譲渡損は分けて表示してね。
7.流動・固定区分などは、ワンイヤールールなどで、しっかり分類してね。・・・・など、など、など、など、・・・。細部にわたって決められている。
つまり、税法とは別に、この基準に従って決算書を作成することとなる。
企業の粉飾決算や仮装決算を排除し、公正中立な決算書の提出が求められている・・。
良いことではあるのだが・・・。
実務ではこれが結構大変・・。
お客様へは一生懸命説明するのだが、なかなか理解が得られません。
また、いまだ世の中全体に浸透していないようで・・、
専門家(税理士)の間でも取扱いについては、かなり温度差があるようです。
実際問題、細かく決められすぎていて、
例えば・・・。
<借方> <貸方>
(現 金) 80円 (受取利息) 100円
(法人税・住民税・事業税) 15円
(法人税・住民税・事業税) 5円
※ 所得税15% 地方税5%
な~んて仕訳。
預金利子80円のおかげでこのような仕訳・・・。
及び結果として申告調整(税額控除)をすることとなります。
このような話をすると・・。
1.そんなの当たり前じゃないか・・。うちは昔からそうだよ。
2.いいんだよ、そんなの重要性が少ないじゃないか・・。こんな仕訳のために労力使って誰が得すんの?
3.あれ、その(法人税・住民税・事業税)って科目なによ。(租税公課)じゃないの?
・・などなどバラバラ
実はこれ1が正解(中小企業会計指針を読む限りそう判断せざろう得ない)
どこにも、重要性が乏しい場合は省略して良いなどとこの項(源泉徴収された所得税・地方税の取扱)
には書いていない。(別のところであったらごめんなさい。)
・・・う~ん。これはどうなのかな~?
この辺りは2の意見ももっともと思えるので、もう少し弾力的に取り扱えるように
中小企業会計指針の前段を見直したらどうでしょうか?
(例えば、『この指針は会計処理に関する原則詳細を定めるのものであり、一般に公正妥当と認められる会計基準(企業会計原則)の適用を妨げるものではない。』とか、暗に「重要性の原則」を引っ張り出せるように・・。)
とはいえ、最近財表を勉強した方、税理士、これを業としている公認会計士は、この辺りは明るい。
この基準、そもそも僕らが勉強してきたことがベースなんだから当たり前って言えば当たり前。
将来はこれが浸透していくことは間違いない。(・・と思う。)
業界人にとっては、この傾向はむしろ良いことと思わなくてはいけませんね。
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この記事へのコメント
び~
中小企業会計指針なるものがあるんですね。勉強になります!
企業にて税理士の資格を生かして勤務するってのはどう思われますか?
やまぐち
役割・待遇・・。1企業専属の税理士・・、
ちともったいないような・・。
ただいろいろなジャンルで活躍している
税理士さんと出会い、資格をどう生かすかは自分次第なのだなと思う今日この頃です。
ちとドキッとする質問ですね(笑)